園長の独り言
子育ち・子育て
はたらくこと
2011-03-02
30人の社員さんが全員で一斉に行うメンテナンス作業と「木工班」「織・刺繍班」「クッキー班」の3グループに分かれてしごとをしています。どの作業班でも手間と時間をかけた手づくりのオリジナル製品を中心に製作販売していますが、「障害を持つ人が作ったものだから…」と義理買いしてもらうのではなく「いいものだから…」という動機で購入していただけるように、手づくりのあたたかさに加えてデザインや品質などにもこだわっています。
またメンテナンス作業では、1987(昭和62)年から継続していた近隣のバス停の清掃作業が評価されて、1998(平成10)年に大津市が市民の自然環境保全や美しい生活環境作りなどのボランティア活動におくる「煌めき大津賞」をいただきました。
<木工班>
キーホルダーやパズル、木のおもちゃなどのオリジナル製品のほか、下駄箱や机・棚などのオーダーにも可能な限り応じています。最近では新設の保育園の看板やクラス表示板を請け負わせていただきました。社員さんの主な作業は、木を切る・磨く・色を塗るなどで、それぞれの適 正を見極めて担当してもらうようにしています。一つ一つとても丁寧に磨き上げられていて、木のぬくもりと共に作る人のあたたかい気持ちを感じることができる製品です。
<織・刺繍班>
主にさをり織と布巾の刺繍をしています。さをり織は決まった織り方に捉われずに自由に織ることができるので、織る社員さんの感性によって個性的な織物が仕上がります。その反物をかばんやテーブルクロス・ポーチなどの製品に加工して販売します。また、シルクモヘアなどの糸を使ってストールを織ることもでき、人気商品の一つとなっています。また布巾に施すワンポイントの刺繍はとても可愛らしく、無二の商品価値があります。
<クッキー班>
クッキー班は最後に立ち上げた作業班ですが、今ではれもん会社のなかで一番多く売上る作業班になっています。クッキーだけではなく、タルトやパウンドケーキなどオリジナルの焼き菓子の種類は50種類を超え、その味にも定評があります。
各班で製造した商品は、バザーや近隣の店舗への委託等で販売し、その収益金を社員さんの給与として支給しています。現在の給与額は、まだ平均して月額約20,000円/人ですが、近い将来には、れもん会社から支払う給与と年金を合わせて最低賃金を上回るようにしたいと思っています。
れもん会社の一日
2011-03-01
れもん会社の一日は、午前10時の朝礼から始まります。まず法人内の建物や園庭などのメンテナンスを行い、その後、各班に分かれて作業を開始します。正午になると食堂へ移動して昼食をとり、約1時間お昼休み。そして午後1時に作業を再開し、午後3時45分に作業を終えて終礼をしたあと帰宅します。送迎車を利用される社員さんは、午前9時から10時の間にお迎えに行き、午後4時から5時の間にお送りしています。
れもん会社とは
2011-01-28
今回は、湘南学園が「混在共存(いろいろな人がいてこそ社会)の福祉」の具現化のために創設した三つ目の施設である『れもん会社』を紹介させていただきます。
れもん会社は「障害のある人が、地域で当たり前に暮らし、働くことのできる自立した生活」の実現を目指して、社会福祉法人湘南学園が、1989(平成元)年6月に開所した無認可共同作業所です。その後、1993(平成5)年4月に通所授産施設としての認可を受けて、現在は30名定員の知的障害者授産施設(通所)として運営しています。
利用対象者は、療育手帳(身体障害者手帳)をお持ちの義務教育を修了された方々です。「自立した生活」をおくるためには、それを支える「お金」と「経験」が必要です。そこで、れもん会社は、お金を稼ぐと共に経験を積む「しごとの場」であることを利用者だけではなく広く地域の方々にも認識していただくために、その施設名にあえて「会社」を名乗り、利用される方々を「社員さん」と呼んで「しごとの場(はたらくこと)」と「生活体験の場(くらすこと)」の両立支援をしています。
余談ですが、我が国の障害児(者)福祉の先駆者である糸賀一雄先生・池田太郎先生・田村一二先生らが、当時の特殊学級という形態による障害児教育に限界を感じ「子どもたちと寝食を共にして、時間に制限されない施設をつくりたい」という熱い想いから1944(昭和19年)1月に創設された『石山学園』は、ここ湘南の地(滋賀県大津市平津)からスタートし、初代園長は、湘南学園の創始者であり曹洞宗の僧侶であった西尾関仲師が兼務していました。その後、この石山学園の理念と実践は『近江学園』『一麦寮』『大萩茗荷村』などへと所とかたちを変えて受け継がれています。
地域の子育て支援
2011-01-24
昨今、少子化や核家族化がますます進行するにつれて、地域社会から日本の伝統として長く続いた子育て共同社会が失われつつあり、そのことにより子育て中の母親の悩みや孤独感が増大してきています。一方、児童福祉法の改正や保育士資格の法定化また保育所保育指針の改定などにより、保育園に勤務する保育士には自園の子どもたちの保育に止まらず、地域の子育てを支援する役割が負荷されました。
社会福祉法人湘南学園では、これらの社会情勢を鑑みて、子育てに悩む母親たちの交流や専門家のアドバイスを受けることができる場と機会を提供することを目的に、児童養護施設と保育の家しょうなんとの共同事業として、1985年(平成60年)10月から「お母さんの子育て広場」を毎週木曜日の午前中に開催しています。また、2005年(平成17年)4月からは、大津市の委託を請けて「つどいの広場“てくてく”」を開所し、平日の午前9時から午後4時まで保育士を常駐させて、それまでの交流事業と相談事業の充実を図り、地域の子育て支援センター的な役割を果たしてきています。
ここ数年、保育を取り巻く環境が大きく変化してきており、子どもの育ちよりも経済性を優先した施策が推し進められていますが、子どもの育ちを見守ることを生業にする者の一人として、次世代を担う子どもたちが心身ともに健やかに育つことのできる環境改善により一層努めていきたいと思っています。
各種保育サービス
2010-12-21
保育の家しょうなんでは、多種多様化する保育ニーズに応えるために、通常の保育のほかに次の各種保育サービスを行っています。
・ 障害児保育
大津市内には、公立・民間併せて48ヵ園の認可保育園がありますが、どの園にも知的や身体的な障害を持つ子どもたちが数人通園しています。保育の家しょうなんにも重度2人・中軽度1人の計5人の障害を持つ子どもたちが通園しています。当園では子どもたちの持つ障害を特別なものではなく一つの個性だと考え、いろいろな個性を持つ子どもたちをみんな同じクラスで生活するようにすることで、子どもたちにありのままの姿を認め合うことの大切さを伝えていくようにしています。障害を持つ子どもがいるクラスには子どもたちの持つやさしさや思いやりを表現できる場面がたくさんあります。
・ 一時保育
普段は保育園を利用しない方々でも、傷病・災害・事故・出産・介護・冠婚葬祭などの事情により、緊急一時的に保育が必要となることがあります。一時保育は、そのような時に利用していただく制度で、月15日を限度として子どもたちをお預かりしています。近年、私たちの地域においてはその需要は増える一方ですが、実施している保育園は依然として不足しています。今後ますますの制度的な充実が望まれています。
・ 休日保育
保育の家しょうなんは、親と子が一緒にいることができる時間を大切にして欲しいと願っています。一般的には日祝日が書き入れ時だという仕事も少なくありません。そのような方々に利用していただくための制度が休日保育です。当園では、平日・日祝日を問わず、子どもたちの休みは保護者の仕事の休日に合わせていただくようお願いしています。
・ ディナーサービス
勤務時間の都合や急な残業などにより帰宅時間が遅くなり、帰宅後に夕食を作る時間がない方々に利用してもらっています。但し、食品衛生上の都合で、利用期間は11月1日から5月31日までの7ヵ月間とし、調理後は2時間以内に召し上がっていただくようにお願いしています。